
テープ起こしの体験談
機関投資家自身が、その資産価格について毎日のように眼を光らせることになることも重要なことです。
クレジット・リンク債やCDOはその原資産が一般貸付債権をベースにした派生商品であることが多いので、こういった商品の購入を通じて機関投資家が貸付債権の価格を時価として捉える必要性が生じる、逆に言えば、貸付債権自体の価格が常時モニターできる体制が必要となるということにもなるのです。
国債への運用シフトも外債運用へのシフトも投資戦略として理解できない訳ではありませんが、いま一度、新しい商品を通じて国内の古くなった枠組みを壊して運用機会を捉え直すような、そうした視点を持った戦略作りも考えてみるべき時期にきているように思います。
企業が破綻した場合、例えばM社が経営破綻となった場合はその時点で、同社に貸付を行っていた銀行だけではなく、社債を購入していた投資家(個人も含む)や売掛債権を保有していた納入業者などの債権者は、元本が返ってこないという事態に直面することになります。
株式と違って貸付債権や債券の場合はすべてがゼロになるという訳ではありません。
額面に対していくら戻ってくるのか、これを回収率と呼びます。
回収率は適正金利を期待値として計算する場合に必要な概念であることは何度も述べた通りですが、実際に現金が返ってくるまでには相当の時間がかかります。
引当金と突然死米国などの回収率のデータであっても、それほど整備されているとは言えず、市場関係者は会社がデフォルトした直後の市場価格(社債や貸付の流通市場価格)を回収率の「代理変数」に使ったりしているのです。
これは正確には回収率ではありませんが、デフォルトした直後にその保有債権を市場で売却できるならば、その価格を回収率の代わりに使っても実務上は問題ないと思われます。
日本には信頼できるデータも売買できる市場価格も乏しいので、いくら返済されるのかといった目途は想像するしかありません。
さて、そのマイカル破綻の際、盛んに「突然死」という言葉で多額の貸出を行っていた銀行の資産悪化が突然起こったかのように報道されました。
人間で言えば、とても健康だった人がある日突然、心臓発作を起こしたかのような倒産劇であることを表現したかったのかもしれませんが、業界にいれば、それが真実とは遠いことはすぐに分かります。
マイカルの経営悪化は少なくとも一年以上も前から、業界の話題の中心だったのです。
それを突然死という説明で片付けようとした銀行経営者の心の裏側にはいくつかの背景が考えられます。
一つには、格付け会社がそうした経営危機を充分に表現してこなかったこと、そして証券会社も国内社債の引受けに応じていたことから、M社の経営危機は一般情報として広がっていなかったと考えたかもしれません。
二つ目は、債券や貸付債権の市場価格、つまりM社の信用力を表す流通金利(あるいは時価)が明確な形で一般情報となっていなかったことでしょう。
もう一つ、引当金が本来あるべき水準に比べて充分に積まれていなかったことへの責任を回避したいという気持ちの表れです。
本当に経営危機を察知していれば、引当金を相当額積んで、破綻した場合にはすでに内部で経理処理が終わっている、という説明が可能です。
株主を意識した経営であれば、当然です。
金融機関が、借り手の体力を知らない訳がありません。
つまり、引当金を充分に積まないで、借り手が経営破綻し、突如として貸出が貸し倒れとなることは当然、経営責任を問われますので、説明は「突然死」、つまり予測できない事象が起きてしまった、と言わざるを得なかったのだと想像できます。
こうした態度を一方的に批判できない背景には、上で二つ目の背景として挙げた債権時価という情報が極めてプロ的な存在に過ぎず、公開情報として表に出てこなかったことが一番の理由として挙げられます。
いくら市場通がマイカルの破綻を事前に察知していたからといって、それが客観的な指標として表現されていなければ、説得力がありません。
本来的には株式市場がそのようなメッセージを伝える機能を果たすべきですが、昨今のように一○円、二○円といった株価がごろごろ存在している市場では、信用リスクへの書鐘に本当に有用なのか、疑わしいところがあります。
五○円割れという株価は、言ってみれば自力再建がほぼ無理だと思うものの、メインバンクがいつ死亡宣告をするのか分からない、つまりその会社の生死は政治や金融機関経営者の考え次第だというメッセージですから、客観的な指標とはなり得ないのです。
メインバンク以外の金融機関や投資家にしてみれば、メインが手を引いた瞬間が「突然死」となる所以です。
結局、よく言われるように引当金とは貸し手の都合にとどまるため、それ自体が極めて悪意的になると言わざるを得ません。
公平を期すために言っておくと、日本の引当金水準は欧米よりも厳しく、破綻に近いものは七○%(つまり元本の三○%しか価値がない)という高率で引き当てることを要求されています。
しかし、対象資産を七○%の引当金カテゴリーに分類するかどうかに関しての厳格な物差しがあるわけではないので、こうした施策が有効に働いているとは言い難いのです。
それでは引当金について、もっと尺度を統一すればいいのではないか、という疑問が湧くかもしれません。
現在、そういう議論が起きています。
大口融資先などや多数の金融機関が関与している借り手などは、特別検査などを通じてすべて同一の引当金水準にしたらいいという意見があります。
これは分かりやすい話ですが、それが本当に有効かどうか私は疑問を感じます。
誰がそれを決めるのか、何を基準とするのか、引当水準をどう規定するのか、はっきりしない点が多すぎるからです。
これはやはり市場価格のなさ、貸付資産に対する価格概念の欠如、市場メカニズムの不備といった日本市場の非効率や論理の脆弱さを典型的に露呈している部分です。
これは、一般企業が債務超過であるかどうかを判断する際にも極めて暖昧な議論を残す土壌にもなっています。
資産の価値がきちんと計算できなければ、バランスシート上で左右の数字が本当に釣り合っているのか、あるいは資産の質悪化でその数字が負債を大きく下回っているのではないか、という疑問に客観的に答えられないからです。
一般的に時価評価といえば保有株式の時価評価が大きく取り上げられていますが、本当に大きな問題といえば債権の時価評価です。
これは金融機関におけるバランスシート上の資産計算にも大きな影響を与えます。
こういう状況では、Aという企業は債務超過だが、Bという銀行は債務超過でない、といった場合の計算基準が明確にならず、大きいものは潰せない、地方経済に影響の大きいものは潰せない、といった企業業績とは別の判断が優先することになりますので、信用リスクのリスク・プレミアムの計算などできたものではありません。
こうした暖昧さを残したまま、市場を発展させようというのは、あまりに虫の良すぎる考えです。
これは金融機関の劣後債務に関しても同様のことが言えます。
過去に破綻した金融機関が発行した劣後債券を購入した投資家は救済され、劣後の貸出を行っていた金融機関は元本割れという政治的な判断を受容せざるを得ませんでした。
テープ起こしからはシャープな印象を受けました。世界的に有名なテープ起こしです。
テープ起こしはいかかですか?結構珍しいテープ起こしだと思います。
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